今日、トラムに乗っている時に、アコーディオンを持った南米系の男性とその奥さんらしい女性が乗り込んできた。まあ、いつものように車内で演奏して小銭を稼ぐっていうものなのだが、その二人の事は今までにも何度か見た事があった。僕の家周辺の停留所からよく乗り込んでくる二人だ。旦那がアコーディオンを弾き、奥さんがそれにのせて歌う。歌は結構上手だし、演奏もまともなので、僕もお金を上げた事がある。というか、とても礼儀正しく感じの良い夫婦なのだ。
今日もいつもの様にその二人が車内の客に軽く挨拶をしてから歌い始めたのだが、その直後、なぜか運転手が車内マイクを使ってそれを制止した。普段はそんな事もなく、放っておくのだが、今日の運転手はイライラしていたのかもしれない。まあ、そこで話が終わっていれば良かったのだが、運転手が制止した途端、いきなり近くにいた婆さんがしめたとばかりにものすごい大声でその夫婦を非難し始めた。「アンタたち、チケットも持ってないんだから勝手に乗り込んできて騒ぐんじゃないよ。罰金払いなさいよ、罰金。さっさと降りろ!こっちは静かにトラム乗りたいんだよ」などとどんどん文句を垂れ始めた。そして文句が止まらなくなった。暫くして見兼ねた老紳士が、「もうわかったらやめなさい」というのも無視してその婆さん(むしろババア)はいつまでも叫び続けていた。僕はその婆さんの行動にものすごーい嫌悪を感じ、黙って放っておけば良いものを、「あなたが一番うるさい、静かにしてください、迷惑です、恥を知れ」などと、どう考えても最後の一言は余計だったのだが言ってしまった。はじめからこうなる可能性は充分に考えられたのだが、やはりその婆さんはそれを聞いて標的を僕に変えてきた。「あんたは自分の国に帰れ、この中国人が!」と、予想通りの反撃が帰ってきた。道端でだったらこのまま喧嘩始めてしまっても良かったのだが、トラムの中だとそうもいかず、ちょうど僕の降りる停留所に着いたので、中国人じゃないんだけどって否定したかったけどしないでトラムから出た。後ろで婆さんがまだ何か叫んでいたが途中でドアが閉まって聞こえなくなった。